iDeCo(イデコ)で30%の税金が節税になるのは本当か?

個人型確定拠出年金(通称iDeCo/イデコ)が2017年より普通のサラリーマンでも利用できるようになっていますが、認知度はあまり高くないように感じます。

ふるさと納税の仲介業者のCMがテレビで頻繁に流れていますが、一方のiDeCoはいまいちCMを見かけることが無いためか、あまり認知されていないのが原因のように感じます。

本ブログ記事ではiDeCoによる税金還付の仕組みを整理し、享受できるメリットと、我慢するデメリットを整理したいと思います。

さらに、手元に余裕資金があったとき、ワンルームマンション投資のローンをお持ちの場合は繰上返済に回した方が良いのでは?という疑問もあるかと思いますので、繰上返済との比較もしてみたいと思います。

そもそも、ふるさと納税ってどんな仕組み?

iDeCoよりもふるさと納税の方は知っていて、やっているという方も多いと思います。

こちらも納税の仕組みを利用した制度ですが、以下の仕組みですね。

  • ふるさと納税した金額の約30%程度の価値の返礼品がもらえる
  • 個人ごとに上限は異なるが、一般的には年間の上限10万円程度まで
  • 確定申告や、ワンストップ特例制度による申請で、翌年の住民税軽減される(寄付額 – 2,000円)

言ってしまえば、税金の前払いをすることで、金額の3割に相当する返礼品がもらえる仕組みでしょうか。

iDeCoはどんな仕組み?

正式名称である個人型確定拠出年金という名称に「年金」が示す通り、個人年金です。

60歳までの会社勤め(or 自営業)において、掛け金を積み立てておいて、60歳になったら、給付されるというものです。

掛け金はすべて自分に戻ってくる仕組みですので、一見、貯金のように見えるかもしれませんが、貯金とは異なる3つの特徴があります。

  1. 掛金(会社員の場合5,000円/月~23,000円/月)は、会社員の経費としての扱いとなりますので、金額に応じて税金が軽減されます。
  2. 60歳まで掛金で運用することになりますので、元本は保証されませんが、儲けを出すチャンスもあります。しかも、儲けに対しては課税されることがありません。
  3. 60歳の受け取り時も、一定額まで無税です。

このうち注目すべきは、掛金に対して税金が軽減される点です。

残りの2つは、運が良ければさらなるプラスが得られるというものであり、ここでは割愛します。

掛金に対して軽減される税金はどのくらい?

個人として給与所得から支払う税金として、所得税(累進課税率)と住民税(10%)がありますが、これらが軽減の対象となります。

所得税率は年収によって変わりますので、おおまかには、以下の表より該当する所得税率を参照するとよいでしょう。

所得税率 課税所得 年収(独身) 年収(既婚)
5% ~195万円 ~440万円 ~500万円
10% ~330万円 ~640万円 ~700万円
20% ~695万円 ~1,100万円 ~1,140万円

掛金に対して、所得税率と住民税率を合わせた比率が、軽減されることになりますが、いっぺんに軽減されるわけではなく、それぞれ以下のようなタイミングで軽減されることになります。

  • 所得税の軽減は、年末調整にて
  • 住民税の軽減は、翌年の住民税にて

iDeCoで還付される税額のシミュレーション

例えば、以下のようなケースで考えてみましょう。

  • 所得税率20%、住民税率10%
  • 掛金23,000/で、年間276,000/
  • 年末調整で還付される金額は、276,000円/年 x 20% = 55,200/
  • 翌年の住民税から軽減される金額は、276,000/年 x 10% = 27,600/年より、2,300/
  • 合計で軽減される税金は55,200円/年 + 27,600円/年 = 82,800/

年間276,000円/年の掛金に対して、30%にあたる82,800円/年が軽減されることになります。

というわけで、iDeCoで30%の税金が軽減されるのは本当です。ただし所得税率が20%となるような年収700万円程度の人であるのが条件です。年収500万円程度ですと、所得税率は10%ですので、住民税率と合わせて20%の軽減となります。

ふるさと納税とiDeCoの比較

それぞれ上限金額も戻ってくるものも異なりますが、比べてみると以下のような違いがあります。

ふるさと納税 iDeCo
年間上限金額 10万円程度/年 276,000円/年
資金の出所 税金の前払い 手元資金から貯蓄
戻ってくるもの 3万円程度の返礼品 82,800円/年

ふるさと納税は、もともと翌年に払う税金を、自分の意志で前払いするだけですので、1年スパンでみると、手元資金の増減はありません。

一方のiDeCoは、手元資金を60歳の自分に向けて送り出しているので、1年スパンでみると、手元のお金が無くなるため、余裕資金でないと捻出は難しいでしょう。20年とか30年の長い目で見れば手元資金の増減は無いのですが、長い目で見る心とお金の余裕は必要になってきます。すぐにお金を引き出せないのがiDeCoにおけるデメリットです。

ワンルームマンション投資の繰上返済の効果は?

ワンルームマンション投資の繰上返済として、返済額軽減を選んだ場合、翌月以降のローン返済金額が軽減されます。ローン定数が5%の場合は、繰上返済額に対して5%のローン支払いが、それ以後ずっと軽減されます。

ローン定数については、当ブログ記事[複数の不動産投資ローンの繰上返済の効果を、ローン定数(K%)を用いて比較する方法]を参照頂ければと思います。

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例えば以下のようなケースで繰上返済の効果を考えてみます。

  • 残債 = 1,200万円
  • 返済期間 = 20年
  • 金利 = 1.6%
  • ローン定数(K%) = 5.85%
  • 繰上返済額 = 100万円
  • 翌年のローン返済軽減額 = 5.85万円
  • 20年間のローン返済軽減額 = 117万円
  • 100万円に対するリターン = 117万円 ÷ 100万円 = 117%

繰上返済は、翌年だけをみるとiDeCoの30%ほどのインパクトはありませんが、翌年以降も効果があることに注目していただけると良いと思います。

iDeCoは、掛金を払ったその年だけ、税金の軽減効果があるだけです。

つまり、上記のケースにおける繰上返済に対するリターンは117%と、iDeCo (30%) の約4倍の効果があることがわかります。

毎年100万円を繰上返済していくと、9年ほどで完済してしまいますが、毎年の繰上げ返済による軽減効果は20年間続きますので、繰上返済はiDeCoよりも十分に効果がある方法と考えてよいと思います。

また、繰上返済を毎年続ける場合はローンの残りの期間は減ってしまいますが、繰上げ返済額に対する効果の比率は上がっていきますので、トータルとしての効果は緩やかに下がっていくのもの、軽減効果の継続する年数に対する効果の影響が大きく、iDeCoよりも十分に効果を期待することができます。

 

繰上返済効果

繰上返済年 年間軽減額 持続年数 軽減効果
1年目 5.8万円 20年 117万円
2年目 6.1万円 19年 116万円
3年目 6.4万円 18年 115万円
4年目 6.7万円 17年 114万円
5年目 7.1万円 16年 113万円
6年目 7.5万円 15年 112万円
7年目 8.0万円 14年 111万円
8年目 8.5万円 13年 110万円
9年目 9.2万円 12年 109万円

ふるさと納税、iDeCo、繰上返済、どれをやったらいい?

手元の余裕資金があったとき、いろいろと投資の選択肢がありますが、どれをやったらいいのか迷うことはあると思います。

そもそもですが、「ふるさと納税」は、手元資金からやるものではなく、翌年の税金の前払いですので、上限金額までやった方がいいです。

iDeCoは20%~30%の節税効果があありますが、それは掛金を払ったその年だけの効果です。

一方、繰上返済はその年を含む翌年以降も効果が続きますので、トータルで見るとiDeCoよりも効果が期待できます。

iDeCoには運用益の可能性もあります。お試しで初めてみるにはよいかもしれません。

個人的に利用すべき順番でランキングすると、

  1. ふるさと納税
  2. 繰上返済
  3. iDeCo

という順番になると思います。

たかはし
単年ではiDeCoの方が節税効果は大きいですが、長い目で見ると、繰上返済の持続効果の方が軍配が上がりますね。運用の楽しさもあるので、5,000/月でiDeCoを始めてもよいかもしれませんね。
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