サラリーマン大家としてワンルームマンションを保有して、時間をかけて資産形成を目指すときに、途中で手元資金が破綻しては中断を余儀なくされてしまいます。そうならないためには、キャッシュフローのプラスを維持するようにコントロールすることが必要になります。
キャッシュフローを上手くコントロールするにはローンとの上手な付き合い方を覚える必要があります。
結論から言うと、返済額軽減型の繰上返済をしてキャッシュフローを改善させ、税引後キャッシュフローの黒字をキープしつつ、余剰金を可能な限り、さらなる繰上返済にまわすことをお勧めします。
このような方法で積極的に資産形成されようとする場合は複数のワンルームマンションの保有が視野に入ってくると思います。
その場合に、どのローンを繰上返済するかという選択で迷われることもあると思います。このブログ記事では、その決断をするための理論的な判断材料を整理したいと思います。
ローン定数(K%)の求め方
銀行からお金を借りたとき、元利金等返済では、利率と返済年数から、毎月の返済額が決まります。詳しくは当ブログ記事[ローン定数(K%)とは?]をご参照ください。
手取り早く把握したい場合は、[ローン定数の早見表を作成しているサイト]を参考にされると良いでしょう。
繰上返済による返済額軽減の効果のシミュレーション
期間短縮型で繰上返済する場合は、返済額は変わりませんので、キャッシュフロー改善には返済額軽減で繰上返済するのが推奨です。
返済額軽減型の効果
返済額軽減型で繰上返済すると、返済回数nは変えないままで、借入額Rを減らしたものとして、年間返済額Yを計算すればよいです。
- 年間返済額Y = R × K(ローン定数)
- ローン残債R = 1200万円
- 返済回数n = 12ヶ月 × 25年 = 300回
- 年利Py = 2%
- ローン定数K = 5. 09%
- 返済額m = 1200万円 × 5.09% = 61.08万円
繰上返済額した場合は以下の通りです。
- 繰上返済額 = 100万円
- 繰上返済後の返済額m’ = 1100万円 × 5.09% = 55.99万円
- 軽減額 = 61.08万円 – 55.99万円 = 5.09万円 = 100万円 × 5.09%
勘の良い方はお気づきかもしれませんが、繰上返済額(100万円)にローン定数(5.09%)を掛けたものが返済額の軽減額(5.09万円)になります。
期間圧縮型との違い
ところで、返済額軽減型だと期間圧縮型よりも完済までの期間が延びることを懸念される方もいるでしょうが、返済額軽減で軽減された金額を貯めておいて、次の繰上返済で追加して返済すれば、完済のペースはほぼ変わりません。
違いとしては、軽減額に年利をかけた金額程度です。
- 年間の返済軽減額 = 5万円
- 年利 = 2%
- 5万円 × 2% = 1,000円
年間1,000円のコストで手元に年間5万円のキャッシュフロー余裕を生み出すことができるのは、心理的に随分と楽になると思います。
ローン定数を比較してみる
私の手元にワンルームマンション3件のローンがありますので、どれを繰上返済するのが最も効果的なのかを調べてみましょう。
蒲田 | 白山 | 中野 | |
ローン残債R | 1,164万円 | 1,531万円 | 1,195万円 |
残返済回数n | 213回 | 289回 | 290回 |
年利P | 1.575% | 1.600% | 1.900% |
ローン定数K | 6.46% | 5.01% | 5.16% |
この中で最もローン定数Kが大きいのは蒲田の物件ということがわかりました。
それでは、蒲田の物件に毎年100万円と軽減額をまとめて繰上返済すると、どうなるでしょうか。
年次 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
ローン残債R | 1,164万円 | 1,012万円 | 857万円 |
残返済回数n | 213回 | 201回 | 189回 |
年利P | 1.575% | 1.575% | 1.575% |
ローン定数K | 6.46% | 6.80% | 7.17% |
繰上返済 | 100万円 | 106万円 | 113万円 |
軽減効果 | 6.46万円 | 7.20万円 | 8.10万円 |
ローン定数Kは、年々と返済回数が減るため、徐々に上昇していきます。
100万円+軽減額を投資することで、年間6%以上のリターンが得られ、さらに軽減額も再投資することで複利効果による収益を上げ続けることも可能です。
これは、ローン完済後に家賃収入を期待するまでもなく、その一部の収入をローン返済中に得ることができるというテクニックとなります。よく覚えておいて、ぜひ返済額軽減型の繰上返済をご検討いただければと思います。
ローン定数を覚えておこう
お手持ちのローンの年利と残返済回数から、ローン定数を計算できます。
返済回数は、毎月1回ずつ減っていきますので、それによりローン定数が徐々に増えていきます。
複数のローンをお持ちの場合は、それぞれのローン定数を計算して、もっともローン定数が大きいものを把握しておくことをお勧めします。
最もローン定数が大きいものに対して繰上返済するのが、最も返済額の軽減効果が高く、キャッシュフローの改善にもっとも効果があります。