会社員が経費として支出できるものは、5%〜20%程度の節税となる

会社員の支出のうち、特定の支出は経費として扱うことができるため、支出額に対して、個人の所得税率に応じた5%〜20%程度の還付を受けることができます。

所得税率は年収などの条件によって決まりますが、[所得税率の計算法則(2021年版)]でも把握頂けると思います。また、ここでは所得税率23%以上にあたる高額収入(1,000万円超)については割愛し、所得税率5%~20%に絞って表記しています。

個人の出費のうち、経費として扱うことのできる支出で代表的なものは、以下の3つです。

  • 保険料
  • 医療費
  • 寄付金(ふるさと納税)

どんな条件でどれだけを経費として扱うことができるのかを整理したいと思います。

最終的には確定申告により還付を受けられますが、確定申告手続きの方法は、ここでは割愛します。

保険料

年間の保険料に応じた所得税還付と翌年の住民税割引を年末調整等で受けることができます。

そもそもどんな保険に入るべきか?についての選定は私も苦手なので、ここで説明する代わりに[保険大好きFPの『保険の部屋』]を紹介します。

保険料控除とは、保険料の実質割引

  • 2012年以降の契約の場合(新契約)
    • 一般生命保険
    • 介護医療保険
    • 個人年金保険

それぞれの保険種別について、支払った保険料に対して一定の範囲の金額だけ、還付等の形で実質割引ととらえられます。

  • 所得税率に応じた5%~20%の割引となる範囲(年末調整で還付されます)
    • 年間20,000円までの部分は、全額が対象(2万円まで)
    • 年間20,001円~40,000円までの部分は、1/2が対象(+1万円まで)
    • 年間40,001円~80,000円までの部分は、1/4が対象(+1万円まで)
    • 年間80,000円以上の保険料では4万円が割引対象の上限となります。
    • 各保険種別ごとに4万円までが対象なので、3種別合計で12万円まで
  • 住民税として約10%の割引となる範囲(年末調整で計算されます)
    • 年間12,000円までの部分は、全額が対象(1.2万円まで)
    • 年間12,001円~32,000円までの部分は、1/2が対象(+1万円まで)
    • 年間32,001円~56,000円までの部分は、1/4が対象(+0.6万円まで)
    • 年間56,000円以上の保険料では2.8万円が割引対象の上限となります。
    • 各保険種別ごとに2.8万円までが対象ですが、3種別合計は7万円まで

2011年以前の保険契約(旧契約)については、ここでは割愛します。

保険料控除(実質割引)の計算例

例えば、年収が700万円で所得税率20%の場合で、

  • 一般生命保険の年間支払:50,000円
  • 介護医療保険の年間支払:80,000円
  • 個人年金保険の年間支払:0円(支払いなし)

の場合について計算してみます。

  • 所得税率に応じた割引額(還付)
    • 一般生命保険:
      • 2万円(~20,000円)
      • + 1万円(20,001円~40,000円)
      • + 0.25万円(40,001円~50,000円)
      • 合計3.25万円
    • 介護医療保険:
      • 4万円(80,000円なので)
    • 個人年金保険:
      • 0万円(支払っていないので)

上記の計算より、実質割引(還付)を計算すると、

  1. 合計して、7.25万円 (3.25万円 + 4万円 + 0万円)
  2. 7.25万円 x 20% = 1.45万円

約1.45万円が還付され、実質割引となります。

  • 住民税の割引の対象部分
    • 一般生命保険:
      • 1.2万円(~12,000円)
      • + 1万円(12,001円~32,000円)
      • + 0.45万円(32,001円~50,000円)
      • 合計2.65万円
    • 介護医療保険:
      •  2.8万円(56,000円を超えたので)
    • 個人年金保険:
      • 0万円(支払っていないので)

上記の計算より、実質割引(還付)を計算すると、

  1. 合計して、5.45万円 (2.65万円 + 2.8万円 + 0万円)
  2. 5.45万円 x 約10% = 約5,450円

約5,450円が、翌年の住民税から割り引かれます。

所得税の還付と住民税の割引の合計は約2万円(1.45万円+約0.545万円)ですので、支払った保険料13万円(5万円+8万円)に対して約15%の実質割引と言えます。

医療費控除またはセルフメディケーション税制

実際にかかった医療費の合計額、もしくは予防として市販薬を購入した合計額について、どちらか一方だけを選択した上で、一定額を超えた分を経費として扱うことができます。

  • 年間の医療費のうち10万円を超えた部分(通院の費用としてタクシー代も対象)
  • 年間の予防薬のうち、1.2万円を超えた部分(対象製品のリストあり)

どちらも、年末調整ではなく、確定申告にて還付を受けられます。

医療費控除の計算例

例えば

  • 年間の医療費が25万円
  • 年収700万円で所得税率20%

のとき、25万円のうち10万円を超えた分の15万円分に対して、所得税率分が還付されます。

  • 15万円 × 20% = 3万円

確定申告後の4月頃に、3万円が還付されます。

10万円を超えた分は割引

10万円を超えた15万円分の出費が3万円還付されますので、10万円を超えた15万円分の出費が12万円に抑えられたということになります。

つまり、10万円を超えた分は20%割引だったと考えて差し支えないでしょう。

寄付金(ふるさと納税)

ふるさと納税は、自治体への寄付金の扱いとなります。

2,000円を超えた分の寄付が全額還付扱いとなります。つまり、2,000円を超えて自治体に寄付した分で得られる返礼品は、2,000円の元手(ほぼタダ?)で手に入れられるようなものです。

ただし、年収による限度額もあります。[総務省のふるさと納税ポータルサイト]で調べておくと良いでしょう。

ちなみに、年収700万円で独身だと10万8千円までが特例の対象です。

  1. 限度額いっぱいの10万8千円を寄付すると、
  2. 2,000円を超えて寄付した10万6千円が所得税か住民税の形で還付されます。

確定申告の場合

還付のための手続きとしては、確定申告かワンストップ納税を選べます。還付のされ方が違うので、留意が必要です。

  • 確定申告の場合は、所得税と住民税に分けて還付を受けられます。
  • 2,000円を超えた分の寄付金額に対して、
    • 所得税率をかけた分が所得税の還付として4月頃に振り込まれます。
    • 残りは翌年の住民税から差し引かれます。

確定申告の場合は、以下のように計算されます。独身で年収700万円て所得税率が20%の前提で、以下のようになります。

  1. 108,000円寄付のうち2,000円を引いた106,000円が経費となります。
  2. 所得税率20%を掛けた21,600円が翌年の確定申告後の4月頃に振り込まれます。
  3. 残りの86,400円が翌年の6月以降の1年間の住民税から差し引かれ、間接的に還付されたことになります。

ワンストップ納税の場合

  • ワンストップ納税の場合は、住民税としてのみ還付を受けられます。
  • 2,000円を超えた寄付金額が、翌年の住民税から差し引かれます。

少しでも早めに還付を受けたい場合は、確定申告の方が所得税の還付の分だけ早く手元にお金が戻ります。

 
たかはし
我が家は不動産収入の分を確定申告していますので、ついでにふるさと納税も確定申告しています。
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