所得税率の計算法則(2022年版)

サラリーマンとして銀行に振り込まれる手取りの給与と、会社から配られる給与明細に記載される額面の給与の差がどのようにして決まっているか、疑問に思われたことはあるでしょうか。

給与明細書のイラスト

会社から支給される給与のうち、主に社会保険料、所得税、住民税を天引きした残りが銀行に振り込まれる手取りとなります。天引きされるものは以下の内訳となります。

  • 社会保険料は収入の約15%
  • 住民税は所得の約10%
  • 所得税は所得に対して5%~45%(累進課税)

収入は社会保険料や税金を引く前の年収の額面そのものですが、「所得」の計算がやっかいです。「所得」をできるだけ簡単に把握して、所得税率を把握する方法を整理したいと思います。

ざっくりと、以下の年収に所得税率が上がる階段があると考えておけばよいでしょう。

  • 年収500万円で所得税率10%の階段
  • 年収700万円で所得税率20%の階段

所得税率の計算で収入から控除されるもの

収入からサラリーマンとしての経費を引いた(控除した)後の金額が所得となります。

たかはし
税金に関しては、引き算を「控除」といいます。引く対象も特定しておらず、特別な意味ももっていませんのでご注意を。

サラリーマンの経費として、支出を計算するのは面倒です。そのため、みなし経費として、一律の計算式を適用してサラリーマンの経費を求めます。

  • 社会保険料(給与から天引きされる金額):収入の約15%
  • 基礎控除(みなし経費:給与から天引きされず、最低限の生活費とみなすもの):48万円
  • 給与所得控除(みなし経費:給与から天引きされず、会社員が勤務に必要な費用とみなすもの):年収ごとに55万円~195万円(年収850万円で頭打ち)
    • 年収200万円で、68万円
    • 年収300万円で、98万円 (+30万円)
    • 年収400万円で、128万円 (+30万円)
    • 年収500万円で、144万円 (+26万円)
    • 年収600万円で、164万円 (+22万円)
    • 年収700万円で、180万円 (+16万円)
    • 年収800万円で、190万円 (+10万円)
    • 年収850万円以上で、195万円 (+5万円)

年収500万円の場合は、

  • 社会保険料:約75万円
  • 基礎控除:48万円
  • 給与所得控除:144万円

年収500万円からこれらを引いた残りが所得となり、233万円 (500万円 – 75万円 – 48万円 – 144万円)となります。

所得税の計算方法

所得に対して、所得税を計算しますが、所得が増えるごとに、一定額を超えた分だけ、税率が上がる仕組みです。

  • 所得のうち195万円までの部分:5%
  • 所得のうち195万円を超えて330万円までの部分:10%
  • 所得のうち330万円を超えて650万円までの部分:20%
  • 以降は省略しますが、段階的に23%, 33%, 40%, 45%となります。

500万円の年収では所得が233万円でしたので、

  • 5%部分(~195万円):195万円 x 5% = 97,500円
  • 10%部分(195万円~233万円):38万円 x 10% = 38,000円
  • 合計:97,500円 + 38,000円 = 135,500円

となります。

所得税率の階段の計算方法

課税所得から逆算して、所得税率ごとの年収の境界を求めることができます。

また、既婚でパートナーが働いていないときはその分の最低限の生活費を38万円の経費とみなすことができますので、所得税率ごとの年収の境界も変わります。

所得税率 所得 収入(独身) 収入(既婚)
5% ~195万円 ~440万円 ~500万円
10% 195万円~330万円 440万円~640万円 500万円~700万円
20% 330万円~695万円 660万円~1,100万円 700万円~1,140万円

年収660万円を超える独身者や、年収700万円を超える既婚者は、収入の増加分に対して20%の所得税を納税する必要があります。

辛そうに納税する人のイラスト(男性)

たかはし
年収500万円を超えるときや、年収700万円を超えときに、所得税率が高くなり、節税を考え始める目安かなと思います。
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