サラリーマンが老後の年金替わりに35年ローンを組んで投資マンションを購入すると、家賃収入で35年後のローン完済を目指すことになるでしょう。
しかしながら、何らかの理由で売却したくなった場合にどんな利益が得られるのか整理してみたいと思います。
投資マンションを売却したくなるとき
35年のフルローンで投資マンションを購入したとき、その後、投資マンションを売却する理由はいくつもあるでしょうが、例えば、以下のようなケースが想定されるかと思います。
- 思いのほか空室になることが多い。そのたびに出費がかさんでしまう。もうやめて楽になりたい。
- 毎月の収支はマイナス5,000円程度。負担に感じてきたので、もうやめたい。
- 毎月の収支はプラス1,000円程度。年間の元本返済が、年間の減価償却費よりも多くなってしまう、デッドクロスを迎えてしまい、節税効果が薄れてくる。物件を買い替えて節税効果を取り戻したい。
- 投資を始めて15年。まとまったお金が必要になったので、売却して売却益をエンジョイしたい。
売却時のキャッシュフローの収支
2,000万円の投資マンションを購入。以下の状態で売却。
- 2,000万円をフルローンで借入。年利1.6%で35年返済。
- 10年間不動産投資をして、元本返済総額は460万円。残債は1,540万円。
- 2,000万円で売却。売却時の手数料は100万円。
キャッシュフローの収支は、
売却価格2,000万円 – 残債1,540万円 – 手数料100万円 = 360万円
購入価格と売却価格が同じときは、元本返済額460万円 – 手数料100万円 = 360万円となります。
売却時に購入価格よりも上下した分だけ利益が増減されます。(手数料も増減されますが。。。)
不動産売却時に利益が出た場合は、利益に対して20%(5年以上保有の場合)の税金がかかるのですが、キャッシュフローの利益に対してではなく、税務上の利益に対してかかります。税務上の利益は、以下のように計算します。
売却時の税務上の収支
2,000万円の投資マンションを購入。以下の状態で売却。
- 2,000万円をフルローンで借入。年利1.6%で35年返済。
- 10年間不動産投資をして、減価償却費総額は500万円。取得費は1,500万円。
- 2,000万円で売却。売却時の手数料は100万円。
税務上の収支は、
売却価格2,000万円 – 取得費1,500万円 – 手数料100万円 = 400万円
購入価格と売却価格が同じときは、減価償却費総額500万円 – 手数料100万円 = 400万円となります。
この400万円に対して20%の課税されますので、80万円の納税となります。
税引き後の収支として、手元にいくら残るのか?
実際のお金のやりとりでいくら残るかと考えればよいです。
10年で売却したとき
- キャッシュフローの収支(360万円)
に対して、
- 税金(80万円)
を納税すると、
360万円 – 80万円 = 280万円
が残ります。
投資マンション購入時の初期費用が70万円だったとすると、10年後に280万円になって戻ってきました。
70万円が10年間で280万円になるのは、15%で10年間複利運用できたときとひけをとりません。なかなかの運用成績ですね。
15年で売却したとき
- ローン残債 1,280万円 (元金720万円を返済)
- 売却手数料100万円
で、2,000万円で売却できたとすると、
キャッシュフローの収支は620万円
一方、税務上の収支は
- 減価償却費総額750万円
- 売却手数料100万円
より、
税務上の収支は650万円となり、税金は130万円。
手元に残る金額は、620万円 – 130万円 = 490万円となります。
70万円が15年間で490万円になるのは、14%で15年間複利運用したときと同等の効果です。