マンション投資の赤字を絶対に避けたい理由

2022年のいま、国内のマンション投資にとどまらず、海外の不動産投資の広告を見る機会も増えて来ました。

新築ワンルームマンションを販売して投資に勧誘する業者も存在しますが、新築が高値であることから、ほぼ確実にキャッシュフローの赤字となります。そして、赤字を避けたい大きな理由はいずれやってくる納税地獄に対抗するためです。

辛そうに納税する人のイラスト(男性)

本ブログ記事では、キャッシュフロー赤字がいかに危険であるかを、できるだけシンプルなシミュレーションで説明しますので、ご自身の資産形成のご参考にして頂ければと思います。

新築マンション投資のキャッシュフロー赤字の危険

ワンルームマンション 投資で月々のキャッシュフローがマイナスだと、毎月の給与からマイナス分を補填する必要があります。これでは自分のための賃貸経営というより、銀行や管理会社を養うための慈善事業です。

お金を支払う人のイラスト(男性会社員)

赤字が続いた状況では、家計の負担が増えるのはもちろん問題ですが、いずれやってくる下記のような出費リスクがさらに心配です。

  • 空室補填リスク
  • 修繕費用リスク
  • 修繕積立金の増額
  • 10年後〜15年後にやってくる納税

これらの出費リスク対しても、ご自身の貯金を切り崩さざるを得なくなります。

貧乏な家族のイラスト

これらの出費に向けて予備費を用意しておかなかった場合、他の目的で用意していたお金で賄わざるを得なくなることもあるでしょう。そうなると人生設計そのものが狂ってしまうかもしれません。将来のために準備してるはずのマンション投資によって人生設計が狂わされるのは本末転倒ではないでしょうか。

まずはキャッシュフロー黒字を目指しましょう

少なくとも、家賃収入から管理費や固定資産税などの経費を支払った後の残りで、ローン返済を全額賄っても、キャッシュフロー黒字を目指してください。少なくとも、新築ワンルームマンションでは黒字の実現がほぼ不可能であり、中古を選ばざるを得ないほど、新築ワンルームマンションの価格が高すぎることに気付くことかと思います。

貯金に成功した人のイラスト(男性)

また、物件購入してからも油断することなく、お金を貯めてローンの繰上返済を進めると良いと思います。返済額軽減型の繰上返済をすると、毎月のローン返済額を減らすことができ、キャッシュフローを改善させることができます。キャッシュフロー改善について詳しくは、当ブログ記事[ワンルームマンション投資の成功や失敗の要因は新築でも中古でもなくキャッシュフローです]をご参照頂ければと思います。

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繰上返済を続けることで、ローン期間を短縮して完済することも可能となります。詳しくは当ブログ記事[ローン繰上返済の戦略とシミュレーション]をご参照いただければと思います。

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納税のためのお金を確保しましょう

ワンルームマンション投資を始めて最初の10年〜15年くらいは、物件の建物分の減価償却費が経費となるため、税務上の利益はほとんど出ないかマイナスでしょう。そのため、納税を意識することはほとんど無いと思います。むしろ、所得税還付を受けるためにせっせと確定申告に励むことでしょう。

パソコンで確定申告をしている人のイラスト

ワンルームマンション投資の期間が10年〜15年に差し掛かってくると、減価償却費が少なくなっていき、ローン返済の元本部分も増えていきます。すると、土地分のローン返済に相当する家賃収入が相対的に増えていった結果、納税に転じていきます。というのも、マンション投資の本質として、物件の土地分のローン返済にあたる家賃収入については、税金を支払う必要があります。詳しくは本ブログ記事[不動産投資の本質は、納税して土地を取得すること]をご参照ください。

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納税のためのお金も確保するには、キャッシュフローの黒字から賄うか、自腹で支払う必要があります。

納税する人のイラスト(男性)

マンション投資のキャッシュフローをしっかりと黒字にし、そこから納税額を賄えるようになれば、完済まで不安なくマンション賃貸経営を継続することができるでしょう。

土地分の取得にどのくらい納税するのか?

おおよそ、物件価格を2,000万円として、土地分が1,000万円のときで考えてみましょう。土地分のローン返済にあたる家賃収入は納税対象になりますので、1,000万円の土地分に対して、所得税で10%〜20%程度、住民税で10%程度の納税となるため、合計で20%〜30%程度の納税になると考えておけば良いでしょう。

1,000万円の土地分の取得に対して20%〜30%を掛けると、だいたい200万円〜300万円ほど、納税が必要になります。

固定資産税のイラスト(土地)

ローン返済期間が35年の場合は、ならすと毎年5.7万円〜8.6万円は土地分の取得に対する納税義務があると考えておけば良いでしょう。この納税は確定申告の際に納税することになります。しかもワンルームマンション投資の前半は納税額が少なく、後半で納税額が多くなる傾向があります。この傾向は、デッドクロスと呼ばれ、当ブログ記事[不動産投資のデッドクロスとは?サラリーマン大家が黒字倒産を回避するための対策]にて詳しく説明しています。

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キャッシュフローシミュレーション

赤字でワンルームマンション 投資を始めることが、将来的にいかに危険かを見える化するため、シミュレーションしてみましょう。

土地分の取得にあたる納税を考慮して、もし赤字で不動産投資を始めた際、赤字額がどのように増大していくかシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション条件

簡単のため、以下の条件で一定とします。

  • 物件条件
    • 築12年の中古ワンルームマンション
    • 物件価格 2,000万円
      • 建物躯体 800万円
      • 建物設備 200万円
      • 土地 1,000万円
    • 家賃 8.5万円/月
    • 管理費等 1.3万円/月 (家賃の約15%)
    • 固定資産税 4.8万円/年
  • 融資条件
    • 期間 35年
    • 金利 2%
    • 返済額 66,252円/月
  • 税率(年収500万円想定)
    • 所得税率 10%
    • 住民税率 10%

尚、簡単のため、空室リスク、修繕リスク、修繕積立金の増額は省略します。

賃貸経営の収支

家賃収入から最終的なキャッシュフローを計算するには、以下のような計算をします。

  1. 家賃収入
  2. 家賃収入から、各種手数料(管理費、固定資産税、その他を引く
  3. さらに、ローンの利息を引く
  4. 利息差引後から、ローンの元本返済分を引く→これが税引前キャッシュフロー(CF)
  5. 利息差引後から、減価償却を引く→これが税務利益
  6. 税引前キャッシュフローから、税務利益に応じた還付を足す or 納税を引く→これが税引後キャッシュフロー(CF)

賃貸経営の収支の種類

このとき、最初の5年くらいは、還付が返ってきてプラスと思っていると、6年目以降は減価償却の額が変わり、納税後にマイナスに転じてしまいます。

デッドクロス前後で様子が変わる

納税に転じる理由を、税引後キャッシュフローに着目して説明します。

元利均等返済の場合、元金返済額は月々少しずつ増えていきます。

一方で、減価償却費はある年を境に、ぐっと少なくなってしまいます。これは、減価償却費のうち、建物の設備に関する減価償却費が、中古マンションを購入後、数年以内(長くても15年以内)にゼロになってしまうためです。

税引後キャッシュフロー

税引後CFが急激に悪化する直接の原因は、元金返済額と減価償却費が逆転することにあります。この逆転を、いわゆるデッドクロスと呼ばれています。

もし、還付と納税の逆転後も、納税後キャッシュフローのマイナスを放置した場合(つまり、手元の資金で納税した場合)、次のような推移で納税額が積みあがっていきます。

還付と納税の逆転

 

  • 還付合計は30万円程度
  • 税引前CF合計は70万円程度
  • 納税合計は240万円程度

差引140万円が自らの資金から支払うこととなります。

税引後キャッシュフローがマイナスでも、純資産は増えている

一応、ローン返済を続けていることで、物件自体を自分の資産として、純資産を拡大することはできています。その様子がこちらです。

純資産

いずれ、残存価値は土地価格まで下がって一定となります。最終的にローン返済のうち、土地分の価値が残ることとなり、自分の純資産として得られたものとなります。上記の納税は、家賃から土地分の資産を得るために支払った税金ということになります。

キャッシュフロー赤字への対策は?

そもそもですが、家賃収入に対して物件価格が高すぎた場合、スタート地点が悪すぎて、キャッシュフロー黒字にすることは難しいでしょう。

家賃収入に対して、物件価格がどのくらいならキャッシュフローが黒字になるのかの損益分岐点が存在します。詳しくは当ブログ記事[ワンルームマンション物件価格の損益分岐シミュレーション]をご参照ください。

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キャッシュフローの改善策として有効なのは繰上返済です。どのようにどれくらいの繰上返済をすると、どれだけの効果があるかは、当ブログ記事[デッドクロスを迎えたワンルームマンション投資の対策シミュレーション]でも紹介していますので、ご参照いただければと思います。

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